概要
ダナタス山(Mount Danatus)は藍の森東部にそびえる火山山脈で、年中たそがれの闇に包まれている。ここは夜彩の領地であり、冥府への入口でもある。
その威容は見る者に畏怖を抱かせるが、ダナタス山の主である夜彩はぐったりまったりした小悪魔で、この恐ろしげな山脈にギャップ萌えという名の愛嬌を添えている。
地形と特徴
ダナタス山はただの火山ではない。その炎は灼熱ではなく、地底の奥底から滲み出る残り火のような、深い藍紫色の光を放っている。山頂は昼夜を問わずたそがれに覆われ——ここの空は永遠に日没の直後、夜の帳が降りる直前のあの一瞬に留まっている。まるで時間がこの山の上で長い休止を取り、そのまま動くことを忘れたかのように。
山脈の岩層は独特の深紅と暗金色の紋様を見せている。数千年にわたる火山活動が刻んだ痕跡だ。しかしよく観察すると、その紋様の中にかすかな光点がちらちらと瞬いているのに気づく——それは鉱石ではない。岩層に埋め込まれた愛のクリスタルの欠片であり、誰の記憶よりも遥かに長い時間をここで過ごしてきたものだ。
山体の内部は複雑な洞窟のネットワークが広がっている。大聖堂のように広々とした洞窟もあり、壁一面の結晶体がたそがれの中で幽かな青い光を屈折させている。廊下のように狭い洞窟もあり、地底深くへと続き、その先がどこに通じているのか誰も知らない——最も深い通路は冥府そのものに繋がっていると言われている。
記憶の結晶
ダナタス山の最も貴重な宝は鉱石でも炎でもない。記憶だ。
山脈の深部には大量の記憶の結晶が眠っている——愛のクリスタルの特殊な表れ方のひとつだ。通常の愛のクリスタルが流れる感情を蓄えるのに対し、記憶の結晶が蓄えるのは、すでに沈殿した重みのある記憶だ。あまりにも重い感情——忘れられない別れ、取り返しのつかない後悔、骨の髄まで沁みる愛——は、タイタンの根系を流れる際に他の感情のように循環されることなく、ゆっくりと沈降し、やがてダナタス山の岩層の中に集まっていく。
聖樹タイタンの根系は山体の最深部にまで達し、感じ取っている——この山は生まれながらにして何かを収めるためにある、と。財宝でも力でもなく、あまりにも重く、あまりにも大切で、ただ風に散らせることのできない記憶を。
これはタイタンから夜彩への託しだ。千万年を生きた樹でさえ、十分に深い場所を見つけて安置しなければならないと感じる記憶たち——そのすべてが、この山の心臓に沈んでいった。
冥府との関係
ダナタス山は冥府への入口だ。タイタンの根系がここへ向かう主根は、すべての根の中で最も深い一本である——岩層を貫き、地底深くへと潜り、生と死の境界線が曖昧になる場所にまで延びている。そこではタイタンの根系と冥府の境界が交差し絡み合い、生者の息吹と死者の安息が同じ脈動を共有している。
夜彩はこの境界線を守護している。力によってでも、威厳によってでもなく——数え切れない別離を経験した者だけが理解できる優しさによって。冥府にたどり着いたすべての魂は、そっと受け止められる。
ある意味で、ダナタス山は藍の森のもうひとつの心臓だ。タイタンが生命の鼓動であるなら、ダナタス山は記憶の鼓動——地底深くで決して止むことのない、ゆっくりとした、穏やかな脈動。
蒼涙の日の影響
蒼涙の日の大災厄の中、無数の住民が流星のように夜空に散っていった。星屑に還った命が残した記憶の断片はすべてが消えたわけではない——その中で最も重いものは、タイタンの根系に沿ってゆっくりと沈降し、やがてダナタス山の深部に流れ込んだ。
その後しばらくの間、山全体が低く唸っていたと言われている。地震ではない。火山活動でもない。あまりにも多くの記憶が一度に押し寄せたとき、山体そのものが発した共鳴だ。
それらの記憶は今なお山脈の最も深い岩層に眠っている。タイタンの覚醒後、ダナタス山の洞窟の中で、記憶の結晶がふたたび淡い光を放ち始めたという報告が住民から上がっている——何かが目覚めつつあるように、何かが思い出されつつあるように。
日常のダナタス山
重い歴史を脇に置けば、ダナタス山の日常はギャップに満ちている。
冥府の王・夜彩は大半の時間を山のどこかの隅でぐったりと過ごし、いつ居眠りしてもおかしくない。山脈の入口からは時折、深夜雑談の声がゲームでやられた悲鳴に混じって漂ってくる——冥府の王がまたソウルライクゲームに苛まれているのだ。
ヨーグルトたちにとって、ダナタス山は恐ろしい場所ではない。たそがれに優しく包まれた家であり、見た目はクールだけど実はとんだザコ悪魔が棲んでいる場所なのだ。